タスク・フロー・システムで考える業務改善【基礎】

業務改善

「業務を改善しよう」「作業効率を上げよう」とよく言われますが、いざ考えるとなったときの思考の軸がないなあと思いまして。

下手をすると、見かけ上の数値は良くなったものの作業者の負担は増えた、なんてこともありえる話なのではないでしょうか。

そこで、業務改善を考える対象をタスク・フロー・システムの3つに分け、それぞれに思考の軸を作成しました。

  • タスク実施する必要がある個々の作業フロー複数のタスクをつなぐ一連の流れ
  • システムタスクやフローを支える仕組み

この3つには考える順番があります。

タスク・フローの精査後にシステム設計を行う

「システムを"作った"」という実績に目が向きがちですが、業務改善で最も優先されるべきはタスク・フローの精査です。

まず、業務タスクを担当者・部署ごとにすべて書き出し、業務全体の流れ(フロー)を明確にします。

例えば、上図において各個人が抱えるタスクの量とその理解度に注目すると以下の通りです。

  • Aさんタスクの量が多く、その半分を理解できていない
  • Bさん一部理解できていない業務がある
  • Cさん抱えているタスクが多い

また、フローに注目するとAさん - Bさん間では往復が生じています。

次に、洗い出したタスク・フローから問題の原因や潜在的なリスクを探ります。

図からは断定できませんが、Bさんが一部のタスクを理解しきれていないのは、Aさんから引き継がれる情報の精度に影響されているのかもしれません。Aさん - Bさん間の往復はお互いの業務・責任範囲が曖昧なことが原因とも考えられます。Cさんはすべてのタスクを問題なくこなせているため、一見すると改善の必要がないようにも見えますが、Cさん以外に同様の業務をこなせる人がいない(属人化している)可能性があります。

原因が明らかになったら、タスク・フローを再設計します。作業者単位ではなく、フロー全体のタスク数が減るように調整します。

例えば、Aさんの負担を減らすためにBさんにタスクを移動しても、業務全体のタスク数は減っていません。反対に、Aさんにひとつ確認作業を追加することで、後工程にある複数の確認作業をなくせるのであれば、Aさんのタスクは増えていても業務全体としては改善されたと考えられます。(理想は全員の負担が減ることですけどね)

最後に、機械的な制限や補助を入れたほうが業務精度が向上する部分にのみシステムを導入します。

図に倣うとAさん - Bさん間の引継ぎ部分には入力フォームを含んだシステムを作成しました。結果的にこのシステムはBさんのタスクの補助もできました。Cさんのタスクは大幅に削減できたうえに、残ったタスクの一部は自動化できたためCさんの属人化リスクが低減しました。

ここで考えていただきたいのですが、タスク・フローを精査せずにシステムを導入していたらどうなっていたでしょうか。

AさんとBさんの業務範囲や引継ぎ手順が曖昧なままシステム化すれば、その曖昧さもシステムに組み込まれます。後から手順を整理した際に、システムの改修や、システムを補うためのタスクが増えるかもしれません。Cさんのタスクはシステムの管理に置き換わっただけで属人化リスクが低減しないかもしれません。

この状態を「業務改善された」と評価するのは厳しいでしょう。

システム導入時に必ず思い出してほしいこと

1. システムはタスクを減らしてくれない  システムはタスクを代行・補助できますが、業務上「やる必要があること」そのものを減らすわけではありません。不要なタスクをシステム化すれば、そのタスクは形を変えて残り続けます。

2. システムの作成 = 新たなタスクの発生である  システムを作ると、設定変更、不具合対応、仕様変更などの保守タスクが増加します。場合によっては、これまで単純作業だったタスクを自動化する代わりに、より専門性の高い保守タスクを生み出すことになり、タスクの属人化リスクが高まります。必ず属人化リスクと単純作業工数を天秤にかけ、リスクが大きすぎるときはシステム導入を見送る判断をしましょう。

システムを開発しないで済む業務改善が、最高の業務改善です。